[2004.02.13]
  寂しさのなかの人間


 ▼Programmer Sets Up Mask for File-Sharers(Zeropaid.com)【英語】
  http://zeropaid.com/news/articles/auto/02112004b.php


 「ボクは彼女の顔をみたことがない。彼女はいつもマスクをしているし,ボクもしている。でもボクは彼女に恋をしていて,彼女の愛もいつも感じる。恋愛に顔形は関係ない。ボクと彼女は,たぶん世界一,それを知っている」。

quote:ワイアット・ワシセック氏は,ファイル共有ソフトを使う人々のインターネット・アドレスを隠すAnonXというサービスを提供している。月5.95ドルでAnonXは利用可能で,ユーザーのパソコンとファイル共有ネットワークなどの間に入り,ファイル共有ネットワーク側からはユーザーのアドレスはわからない。ワシセック氏はユーザーのアドレスを暴露することはないと約束している。

 誰も顔を表わさず,みんながマスクで顔を隠しているような街があったら,どう思うだろう。それは異常な社会だろうか? 人など結局は信用できるものではない。当然の,社会だろうか? AnonXは,簡単に云うと有料プロクシみたいなものだ。が,ファイル共有でやりとりするデータはすべてワシセック氏の元を通るわけで,有料なのはその帯域幅を利用するのに仕方ないのでは? と云う人もいる。だがこれは,ミュートのような匿名のファイル共有ネットワークがきちんとできるまでの代替手段として使われることだろう(ミュートはWinnyに似た匿名性を持った,オープンソースのファイル共有ツール)。

 ネットワークはもともと,匿名性などかけらもない世界だった。メールを送った相手もウェブをみにきた相手も,すぐに全部わかる。悪い人間が入ってくることなど,考えてもいないような世界だった。が,人間はそんな生き物ぢゃない。ネットワークを牛耳ろう,自分の思い通りにならないものは破壊しようとし続けている人間は山といる。だから,そんな人間と係わり合いを持たないために,なんらかのマスクが必要なのだ。寂しいと,しても。


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